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2021.05.28
ビジュアルアイコンとしてのマスク
マスク生活が当たり前となり一年以上過ぎました。
マスクをしていない人に会うのは家庭のみ。
会社はもちろん、どこもかしこも顔を覆った人しか目にしません。
2019年には想像すらできなかった異質な光景が今や日常です。
マスク姿の集団が東京駅を闊歩する映像を見ると、
個性を奪われた人々が暮らす、近未来のSF映画かと錯覚してしまいます。
日常と非日常の境界線はある瞬間に溶解するものです。
覆うこと、ラッピングすること、パッケージングすること。
核となるものを隠す行為でありながら、
そのものをより魅力的に演出してくれることがあります。
(と、ここで私たちの本業でもあるパッケージデザインについて
アピールしそうな展開ですが、分量が長くなりそうなので
今回はやめておきます。)
人類は太古より様々な装飾を試みました。
そのほとんどが本来の自分以外(時には人間以外)への変身のためです。
現在のマスクを装飾と考えるのは行き過ぎと指摘されるかもしれませんが、
今やお洒落アイテムとして市場に出回っております。
疫病から自分を守るという本来の目的はありつつも、メイクすることと同様に、
ファッションとして楽しむ柔軟性を人は持っています。
そしてマスクによって素顔とは違う、別な魅力が引き出されていると思います。
目しか晒さないこと(目以外を隠すこと)の神秘性を
風習として根づかせてきた国も多々あるくらいですから。
いずれにしろマスクが現在の「ビジュアルアイコン」の一つになったのは
確かです。
そんなことを考えながら人を描いたら、やはりマスクをつけたくなりました。
こんな発想から少しでも早く解放される日がくることを、祈らずにはおれませんが。