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2023.08.30
デザイン
500円玉のデザイン変更に気づき、お金のデザインをする人についてを知る。
アートディレクター
デザイナーY
新潟のグラフィックデザインチーム「is good!」のデザイナーYです。
今まで現金を使うことが多かった私も、世の中の流れですっかりキャッシュレスの支払いに慣れてしまっています。
最近では、現金を使うときはなるべく小銭を出さないよう気をつけるようにもなりました。
そんな時、つい最近の話なのですが、財布の中に500円玉が2枚あり、何気なく見てみるとそれぞれのデザインが違っていることに気が付きました。
新しい500円玉はコインの中心部と外側が2層に分かれていて、側面のギザギザが均一ではなく、比べるとわかりやすく違っています。
調べてみると、500円玉は2021年11月1日から新しいデザインのものが発行されていました。
今更⁉︎と思われるかもしれませんが、キャッシュレスを多用する現在、お金をじっくり見る機会が減り、私のように気づかなかったという人も少なくないのではないでしょうか。
財務省のホームページに掲載されている500円玉の新旧比較を見てみると、あまり意識していなかった様々な微細文字や、偽造防止のための潜像(見る角度によって文字が見え隠れする)があることを知り、お金もデザインされているのだと改めて感じました。
そこで、お金のデザインは一体どんな人が行っているのか気になり、調べてみました。
長い間デザイナーをしているにもかかわらず、恥ずかしながら今まで知らなかったのですが、日本には、国立印刷局に努める国家公務員の「工芸官」という専門職の人たちがいることを知りました。セキュリティー上その工芸官の氏名や顔等は公表されていません。正確な人数も公表されていませんが、30人ほどの少数精鋭であるとの事です。
彼らは毎日、技術を磨くために、新しいお札等の図柄候補になりそうな人の肖像画を描いて、それを掘り続けるという作業をしているそうです。その人たちの手により、偽造されにくく、かつ芸術的なお金のデザインが出来上がっているのです。
今時はコンピューターで作っているのかとも思っていましたが、お札のあの細かすぎる図柄が、人の手で描かれ、彫られているものだということに驚きます。
来年2024年度には20年ぶりに紙幣が一新されると発表されています。
実際に新デザインの紙幣を手にしたら、どんな印象を受けるでしょうか。お金の物質的な存在感が薄くなってきている感が否めない時代ですが、特別な技術を持った人たちがデザインをした新しいお札が発行されるのを楽しみに待ちたいと思います。