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2024.08.01
デザイン
身近にあるユニバーサルデザイン 新紙幣のやさしい工夫
デザイナーN
新たな紙幣が発行されてから1ヶ月が経とうとしています。新紙幣、そろそろ手にした方も多いのではないでしょうか?私も先月ピカピカのお札をゲットして旧紙幣と比べながら「高級感があってかっこいいねー!」と家族と盛り上がりました。(勿体なくて使えずに財布の肥やしになっています…)
さて、新紙幣のデザイン発表時に話題にもなった「ユニバーサルデザイン」ですが、ダイバーシティ(多様化)推進に伴って耳にする頻度も増えてきている気がします。紙幣についても今まで約20年に1度のタイミングでリニューアルされてきましたが、銀行券公式サイトによると変更する理由のひとつにもやはり「ユニバーサルデザインの強化」があるのだそうです。
ユニバーサルデザインとは、アメリカの建築家 ロナルド・メイス博士が1980年代に提唱した考え方で以下の7原則がガイドラインとして示されています。
- 原則1:誰にでも公平に利用できること
- 原則2:使う上で自由度が高いこと
- 原則3:使い方が簡単ですぐわかること
- 原則4:必要な情報がすぐに理解できること
- 原則5:うっかりミスや危険につながらないデザインであること
- 原則6:無理な姿勢をとることなく、少ない力でも楽に使用できること
- 原則7:アクセスしやすいスペースと大きさを確保すること
まず、新紙幣の1千円札と1万円札では「1」の書体が違うことに疑問を感じたひともいるのではないでしょうか。これは識別性を上げて、誰もが見分けやすくするための工夫なのだそうです。ユニバーサルデザインの7原則では4と5に当てはまりますね。同様の理由で「指の感覚で識別するためのマーク」「透かしの形と配置」等も券種毎に異なります。デザイン発表当時 ネット上では「統一感がない」という意見も散見しましたが、個人としては「あえて揃えない」ことで海外からの観光客や高齢の方などにも配慮したやさしい改変なのだと感じました。
今回はトレンドである新紙幣について触れましたが、近年公共の設備や印刷物はユニバーサルデザイン化が進んでいるものが多くあります。もしも身近なものがリニューアルした際には「ユニバーサルデザイン」の観点で思いを巡らせてみるのも一興かもしれません。