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2025.05.22
ラベルレスペットボトルにみる「デザインがない」ことのメッセージ性
アートディレクター
デザイナーK
新潟のグラフィックデザインチーム「is good」のKです。ラベルのないペットボトル飲料が増えています。店頭でのバラ売り商品ではごく一部ですが、ネット販売や店頭での箱売り商品は増えています。背景には世界規模で認識されているプラスチックごみの問題です。ラベルもプラスチックであり、リサイクルにおいて煩雑化の原因の一つになります。その点ラベルレスペットボトルはラベルを使用しないため、リサイクル率が上がり環境対策に貢献できます。単純にラベルを剥がす手間がないだけで、リサイクルしやすいという意識が生まれます。飲料メーカーによる取り組みが、年々加速する環境問題意識の高まりと共に、他業界にもさらに波及していくことは間違いないと思われます。
さて、デザインを生業としている私にとって、ラベルがないペットボトル=デザインがないペットボトルの存在は、何かを突きつけられた感じです。デザインは装飾することが目的でなく、本来伝えるべきメッセージを込めるというのが本筋です。ラベルレスペットボトルは、込めるべきメッセージであったラベルを排除することで、より強いメッセージを発信しているという事実には驚愕します・・・大袈裟ですが。正直どんな優秀なデザインより強く、そして美しいとさえ感じました。パッケージや広告などの仕事をさせていただいております上で、ポイントを絞る・選別する(情報を削ぎ落とす)行為はデザインの一丁目一番地です。ラベルレスペットボトルの存在はそれらを軽く飛び越えた発想と完成度を感じました。いやーまいった!というのが本音です。