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絵本と展示の“没入感”──いま求められる体験型デザイン
新潟のグラフィックデザインチーム「is good」レタッチャーのSです。
子どもの影響もあり、ここ数年は絵本を読む機会がぐっと増えました。
自然と、絵本にまつわる展示や空間演出にも目が向くようになっています。
レタッチの仕事をしていると、単純な「色の美しさ」だけではなく、
空気感や没入感をどう演出するか、という視点でビジュアルを見ることが増えました。
そんな中、弊社所在地・新潟市で同時期に開催されている
「おでかけ!絵本ミュージアム」と「パンどろぼう展」。
いずれも前売り券は購入済み。
あとは行くだけです。今からとても楽しみにしています。
“見る”から“入り込む”へ──没入型デザインの進化
どちらの展示も、“ただ見るだけでは終わらない”体験型展示として注目されています。
「おでかけ!絵本ミュージアム」は、まさに代表的な没入型コンテンツのひとつ。
展示を見るだけではなく、“絵本の世界に入り込む感覚”そのものを楽しめる空間になっています。
この“没入型デザイン”は、近年の展示デザインや空間演出において非常に注目されているトレンドです。
これまでのデザインは、「情報を見せること」が重視されていました。
しかし現在は、「感情を体験させること」へと大きくシフトしています。
SNS時代になり、“写真映え”だけではなく、
「その場でどんな気持ちになれるか」が価値になっているからです。
体験型コンテンツと“世界観設計”
一方で人気の「パンどろぼう展」も、非常に興味深い展示です。
原画展示はもちろん、絵本の世界観をそのまま立体化した巨大オブジェ、入り込める背景、キャラクターとの距離感。
空間全体を使ってブランド体験をつくる手法は、近年の展示デザインや店舗デザイン、イベント演出にも数多く取り入れられています。
最近のデザイン業界では、
- 世界観を重視した空間演出
- 思わず撮影したくなるフォトスポット
- 五感を使った体験設計
- フィルムライクな質感表現
- “余白”を活かした静かな没入感
などが、大きなトレンドになっています。
特に近年は、“情報量を増やす”よりも、
「感情を動かす空気感」を重視する流れが強くなっています。
本という“平面”の世界から、立体空間へ──。
デザインそのものが、“体験”へ進化しているように感じます。
安藤忠雄建築に感じる“静かな没入感”
本つながりで興味深い存在なのが、新潟市北区にある豊栄図書館です。
実はこの図書館、建築家・安藤忠雄による設計。
みなさん、ご存知でしたか?
派手な装飾はありません。
それでも、不思議と空間そのものに引き込まれる感覚があります。
これはまさに、近年トレンドになっている“静かな没入感”のデザイン。
余白、光、導線、素材感。
情報を足し続けるのではなく、“削ぐことで生まれる空気感”。
(図書館なので静かなのは当然でしょうか。)
これからのデザインは、“見る”から“入り込む”へ。
そんな流れは、今後さらに強くなっていきそうです。
レタッチ表現は“低彩度”へ向かうのか
……ただ、レタッチャーとして見ていると、少し気になる変化もあります。
近年は、写真表現そのものが、
“情報量を足す”方向から、
“空気感を整える”方向へシフトしているように感じます。
彩度を抑えたり、コントラストを柔らかくしたり。
あえて色数を減らし、“静かな世界観”をつくるレタッチも増えてきました。
最近では、
- 低彩度デザイン
- モノクロレタッチ
- フィルムライク表現
- グレートーン中心のビジュアル
なども増えています。
さらに、原材料価格やナフサ価格の高騰によって、
展示・印刷・ビジュアル制作を取り巻く環境も少しずつ変化しています。
そんな時代の流れの中で、
いつか表現そのものも、“低彩度”や“モノクロ”へ向かっていくのでしょうか。
カラー全盛の時代に、再びモノクロ写真が注目される——。
そんな未来を、少し想像してしまいます。